俺様社長に甘く奪われました

 今日の彼女のランチは、おからの煮物にごぼうサラダという超ヘルシーなもの。これぞ女子というメニューだ。大盛りのフライとの違いを見せつけられ、莉々子は今さらながら恥ずかしい。
 志乃も真紀同様に「そんなに食べるの?」と驚いていた。


「ところで今朝、莉々ちゃんが松永くんと話してた“大失敗”ってなんの話だったの?」


 唐突に志乃が莉々子に尋ねる。
 今まさにその話をしようと思っていたところだ。


「昨日もふたりでコソコソしていたでしょ?」
「あ、はい……」


 志乃にはしっかり見られていたようだ。
 真紀が“なんの話?”と興味津々に莉々子を見る。


「実は社長とちょっとありまして……」
「……ちょっとって?」


 志乃の目が鋭くなったような気がした。まさか社長が話題にあがるとは思いもしなかったのだろう。
 昨夜のことを話すには、その前のことから話さなければうまく説明ができない。真紀にもらったチケットを持って莉々子が訪れたラウンジで、望月にばったり会ったところからだ。

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