俺様社長に甘く奪われました

 今日の莉々子のメニューは“フライてんこもり定食”だ。ヒレカツにエビフライ、男爵コロッケという、まさに揚げ物が“てんこもり”。こんなメニューを頼んだのはさすがに初めてで、正直言って食べ切る自信はない。

 ここでは、成人病予防のメニューや女性向けにライトなものも好評だが、若い男性向けのメニューもきちんと取り揃えられている。


「いったいなにがあったの? そういえば、あのチケットはちゃんと使った?」


 ラウンジで望月がピアノを弾いていたことも、そのあとの話も真紀にはまだ話していなかった。


「うーん……」


 いろいろありすぎてなにから話したらいいのか。フライにソースを掛けながら莉々子が頭の中を整理していると、「ここいい?」と志乃が現れた。


「もちろんです。どうぞ」


 莉々子は隣の椅子を引いて、志乃に座ってもらった。

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