俺様社長に甘く奪われました
「どうだ、違うか?」
「……そのとおりです」
莉々子は素直に認めた。
「このコーヒーカップだって、特別高いものじゃない」
「……そうなんですか。ル・シェルブルのロイヤルスイートに泊まって、一本十五万円もするシャンパンを飲んでいたから……」
てっきり何万もするような、どこかの高級ブランドなのかと思っていた。
「あの部屋にはたまに気晴らしで泊まるが、シャンパンは友人からの誕生日プレゼントだ」
「誕生日って、あの日がそうだったんですか?」
驚いて聞いた莉々子に彼は「ああ」と短く返事をした。
望月によると、あのホテルの副社長からのプレゼントだったとのこと。
(そういえば、ピアノもその彼に頼まれてたまに弾いていると言っていたっけ。でも、誕生日をひとりで過ごしていたということは、本当に恋人がいないってこと? 私のことはからかっているだけで、付き合おうと言ったのも本気じゃないんじゃないかと……)
莉々子は複雑な気持ちで彼を見る。