たとえばきみとキスするとか。





放課後。約束どおり柊花と駅前で待ち合わせをした。


「莉子、こっち!」

先に到着していた柊花が、時計台の下で手を振っている。


「ごめん。ホームルーム長引いちゃって」

「ううん。急に誘ったのは私だし。近くにいい感じのカフェがあるから行こう。店の内装も可愛いし、ケーキも美味しいよ」


色々と疑ってしまっているのが申し訳ないくらい、柊花の笑顔は中学の時と変わらなかった。

待ち合わせ場所から徒歩5分。路地を入ってすぐにカフェが見えてきて、どうやら最近オープンしたばかりらしい。


店内へと入った私たちは一番奥の席へと案内されて、お互いにケーキセットを注文した。


「本当に可愛いカフェだね!」

店内はとてもカラフルで、女の子たちが好きそうな小物もたくさん並べられている。


「インスタ映えするって、けっこう話題になってるみたいだよ」


私はSNSはやらないし流行りのものには疎いけれど、そういえば柊花は中学の時からオシャレで、『こういうのが人気らしいよ』って、私に教えてくれたっけ。

爪も綺麗に整えてあって本当に垢抜けたというか……ますます美しさに磨きがかっている。

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