甘く、蕩ける。
何てったって、彼は私の好きな人。旦那に初

めて恋をした時よりも、深く彼に陶酔して

いる。彼の方が年下だから、不倫に巻き込

んでしまう責任感は常についてくるが、それ

でも・・・今だけの関係でもいい。彼が好

きだ。


そう、思っていたんだけど・・・


「おはよう、瞬くん」

花屋に行くと、すぐに彼が笑顔を輝かせて

出てくる。奥に手招きされ行ってみると、事

務所の前でキスしてきた。

「っ・・・瞬っ」

どうやら今は彼の他に店員がいないらし

い。私以外にお客さんがいないせいか大胆

だ。

「怜香、さん・・・」

「あっ、あの、待って」

まさかこういう事になるとは思わず、慌て

て発情する彼を制止する。彼はピタッと動

きを止めた。

「冗談・・・だよ、ね?」

そうだよ。きっと彼は冗談なはず。優しいか

ら、私に付き合ってくれてるだけ。だって彼

は明らかに私より年下だし、不倫相手って

いうリスクを背負うなんて嫌がるよ。
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