甘く、蕩ける。
私の幸せって
翌朝、帰った時には旦那はいなくて、書き

置きすら残されていなかった。

「しょせん、私なんてそんなもの・・・」

旦那からの愛情は、とっくの昔に賞味期限

が切れていた。それは旦那が浮気を始めた

頃じゃない。

私に興味を失った頃だ。それは結婚してわ

ずか三ヶ月後の事。

何が原因だったのかは分からないけれど、思

えば旦那は元々飽きっぽくて淡白な人間だ

ったように思える。

『何かあったら、いつでも俺に相談してく

ださいね』

昨日、彼と交換した連絡先に電話を掛けて

みる。少ししてから彼が出た。

「もしもし、怜香さん?」

「あっ、あの、今日って店開いてる?」

「ああ、開いてますよ」

それを聞いて、私はまた店に行こうと決め

た。不倫なんて今までに経験した事なかっ

たけど、やってみると意外に楽しい。むしろ

これはゲームみたいなものだ。向こうが

散々浮気三昧、酔っ払えば横暴三昧なんだ

から、私にだって息抜きは必要。
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