甘く、蕩ける。
「早く、家庭なんて捨ててしまえば良かっ

た。瞬くんが一番大切な存在だって、痛いほ

ど分かってたのに・・・」

瞬くんとの蜜月は既に三ヶ月程が経つ。私

が家を出る勇気がなかったのは、金銭面の

事をズルズルと引きずっていたから。


だけどもう、そんな事どうだっていい。


何を犠牲にしても、瞬くんは何もかも承知し

てくれている。だったら旦那との生活なんて

もういらない。


「・・・怜香さん。あんな、感情的な怜香

さん、初めて見ました・・・」

車を走らせながら、若干の動揺を見せる彼

を見てやっぱりとんでもない事に巻き込んで

しまったなと改めて反省する。彼にとっては

付き合っている相手だというのに、私にとっ

ては不倫相手。だけどそんな関係も今日限

りだ。

「・・・引いた?」

私達の関係も、もしかしたら今日で終わっ

てしまうのかな。

そう思うと怖かった。だけど気になって訊

いてみた。
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