クールな部長は溺甘旦那様!?
「松川さん?」

「あ……」

つい過去のことを思い出してしまい、頭が飛んでしまった。ぼーっと一点を見つめる私の前でヒラヒラと手を振る影山君に我に返る。

「ごめん、嫌なこと思い出させた? でも、剣持部長と外回りするより、俺の担当にしたかったのは本当、営業経験もあるから実践力ありそうだし」

影山君にそんなふうに言われたってちっとも嬉しくなかった。剣持部長はまだ電話中みたいだし、私はドレスの入った大きな袋をバッグと一緒に掴んだ。

「もう遅いし、帰るね。お疲れ様」

「あ、うん、気をつけてね」

ほかにもまだ何か言いたげな影山君を背に、私はそそくさとオフィスを後にした。
< 150 / 362 >

この作品をシェア

pagetop