クールな部長は溺甘旦那様!?
さっぱりわけがわからなくなった私は、ぽかんと口があいているのにも気がつかずに、ただ呆然とした。

「そうかぁ、剣持君にはもう相手がいたんだね、真理絵、彼には先約がいるそうだ。諦めなさい」

中年男性はたしなめるように娘と思しき女性に笑いながら言うと、その彼女の方は今まで輝かんばかりの笑顔だったのに、みるみる眉間に皺を寄せて一気に不機嫌な顔になった。

「ふぅん、剣持さんの婚約者ですか……案外地味な方なんですね」

な! 地味ってなによ! 初対面でそんなこと言われたくない! まぁ、確かに地味なのは否定しないけど。

指先で自分の髪の毛を弄んでいる彼女に負けじ劣らずと、私はキッと威嚇するように睨んだ。すると、そんな私を小馬鹿にしてクスッと笑った。

「ふふ、面白い人」

ハリときめ細かな肌に化粧ノリのよさそうな顔を見ると、明らかに私よりも年下に見える。そんな人に面白い人呼ばわりされて、モヤモヤとしたものがこみ上げてくる。
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