軍人皇帝の幼妻育成~貴方色に染められて~
「別に……、お前は小さいからといって美しくない訳じゃない。人の美的感覚はそれぞれだ。気にするな。それに子を孕んだら良い医師をつけてやる。だからそんなに憂いに思わなくていい」
数ヵ月前の自分だったら言えない台詞だったかもしれないと、アドルフは密かに思う。何せ夫となる張本人の自分が、華奢すぎるシーラを女性として見られなかったのだから。
けれど今は違う。抱きしめたときにすっぽり収まってしまう小柄さも、華奢に見えてフワフワしている抱き心地も、ミルクのように白く甘い香りがする肌も、内に秘めている蠱惑さも、それらがどれほど劣情を煽るかアドルフは痛いほど知っている。
世界中の人間がシーラの魅力が分からなくとも、夫である自分だけが分かっていればいい。むしろ、他の男に彼女の魅力を知られたくないと思うのは、夫としては正しくとも皇帝としては傲慢だろうか。
またひとつ自分が抱いている青臭い想いに気づき、アドルフは頬を赤らめると視線を逸らし食事を再開させた。ところが。
「あ、アドルフ様は……私の背や胸やお尻が小さくても、魅力的だと思ってくださいますか?」
モジモジと照れくさそうに上目で見つめながら、そんな愛らしいことをシーラは尋ねてくるものだから参ってしまう。
いっそ、自分がどれほど彼女を魅力的だと感じているのか、寝室に連れ込んで証明して見せようかなどと馬鹿げた衝動に駆られそうになり、慌てて奥歯を噛みしめ理性を留める。
かといって、皇帝たるものが朝っぱらから砂を噛むような台詞を口にするのも憚られ、咄嗟に「おかしなことを聞くんじゃない」と返してしまった。
その瞬間、シーラの顔色が分かりやすいほど変わった。恥じらいとときめきで輝いていた乙女の顔が、ショックでみるみる悲しそうに曇っていく。