軍人皇帝の幼妻育成~貴方色に染められて~
アドルフも同じ気持ちなのだろうか、口づけに貪欲さが増す。頬を包んでいた手はいつの間にかシーラの後頭部と背を強く抱いていて、まるでシーラのすべてを激しく求めているようだ。
「……初夜まで待ちたかったが……耐えられそうにない」
刹那唇を離したアドルフが、乱れた息混じりに囁く。
乱暴なほど唇をねぶり、鼻先や頬にもキスの雨を降らせ、その合間に彼は何度もシーラの名を呼びかけた。
「アドルフ、様……っ」
唇を首筋に這わされて、身体がビクリと跳ねると共に上擦った声が出てしまった。その反応を見てアドルフはついに椅子から腰を上げると、キスをやめないまま、シーラの身体を跨ぐようにベッドへ膝をついた。
「お前がいいと言うのなら、俺はここでお前を抱く。……いいか?」
シーツの上にシーラの身体を組み敷いて、アドルフは尋ねた。
普段は沈着な琥珀の瞳が、今は獣のように情熱を滾らせている。その眼差しに捉えられて、シーラの胸が痛いほど甘く締めつけられた。
けれど。
「……何を、なさるのでしょう……?」
アドルフがこれから何をしようとしているのか、シーラには判断がつかなかった。
そういえば以前も彼の寝室で似たようなことをされたが、結局あれがなんだったのか今でも解明していない。
尋ねてきたシーラに、アドルフの動きが止まる。
「だから、その……子作りを、だ」
どこか歯切れ悪く言ったアドルフの言葉に、シーラは「ああ」と納得したが。
「今、ここでされるのですか? 私は何をしたらよいのでしょう?」
続けて問いかけた素直な質問に、アドルフは片手で顔を覆うと何故だかベッドから降りてしまった。