軍人皇帝の幼妻育成~貴方色に染められて~
「……喧嘩でもされたのですか?」
「してない。あいつが嫌がるから、俺は極力優しくしてやってるつもりだ」
つっけんどんな態度を取られる心当たりのないアドルフは、納得いかないとばかりにムッと口をへし曲げた。
扉に背を向け不機嫌そうに大股で歩き出したアドルフに、ヨハンは小走りで追いつき苦笑を浮かべる。
「幼い外見をされていても、やはり十八歳の乙女でございますから。女心は難しいことをお忘れなく」
「言われなくとも分かっている」と反論しようとして、アドルフは自分の行いを振り返った。そして少しだけ頭を悩ませてから、ますます顔をしかめる。
(……まさか、今朝のことをむくれているのか? 裸を見た感想を言えなどと言ってきたあれか?)
シーラの機嫌を損ねた心当たりといえば、それしか思い浮かばなかった。しかし、そこに自省を求めるのはどうにも納得がいかない。
(いくら妻とはいえ、朝っぱらから皇帝におかしなことを言わせようとする方がおかしいだろう。それともなんだ、『胸の膨らみはもっと欲しいところだが、肌の美しさはなかなかだった。多少は欲情した』と素直な感想でも口にすれば喜んだのか? 馬鹿らしい)
どうしてそんな恥辱的な行為を強要されなければならないのかと憤慨する。