軍人皇帝の幼妻育成~貴方色に染められて~
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冷たい雨に何時間も打たれたせいで、シーラは夜から高熱を出してしまった。
アドルフとクーシーの傷がどうなったのか気がかりだったが、意識が朦朧としていて、とても話せる状態ではない。
床に臥せること三日、ようやくシーラの熱が下がったことに、宮殿中が安堵の息を零した。
しかし当の本人は熱が下がって目を覚ますなり、ベッドから跳び起きて侍女に「アドルフ様とクーシーは?」と詰め寄り、侍医を驚かせる始末だ。
まだ体力の戻っていないふらつく身体をベッドに押し戻されたシーラは、焦れてソワソワとする。
「陛下はご無事です。クーシーも獣医が治療いたしました。命に別状はないそうですよ。ですからシーラ様も、ご自分の身体が元気になることに専念されてください」
トレーに載った温かいスープをベッドに運びながら説明してくれた侍女の言葉に、シーラは安心と希望で目をキラキラと輝かせた。
「本当? 本当なのね? よかったあ……!」
ふたりが無事だと聞いて心も身体もようやくリラックスできたのか、途端にお腹がグウっと鳴る。
シーラは照れた笑いを浮かべると侍女の持ってきたスープをペロリと平らげ、さらにミルクと生クリームをたっぷり加えたココアを二杯も飲んだのであった。
旺盛な食欲を見せたシーラはグングンと体力を回復させていき、その日の夜には顔色もすっかりとよくなった。
明日にはベッドから起き上がれるだろうと、侍医にお墨付きをもらったシーラのもとにアドルフが訪れたのは、間もなく就寝時間を迎える頃だった。