私たちのstory
最後はウソ



確かにそばにいたい、そう思っていたわ



いままではね



でも毎日毎日龍希くんに話しかけて応答がないことに苦しんで寂しくないわけがないでしょう?



眠っている間が長くなればなるほど龍希くんに“死”が迫っていることを嫌でも実感してしまう



残念だけど、最低だけど、私はそれでもなおそばにいてあげれるほど正気ではいられなくなっていた



未夢「でも...

ICUに入れる意味ちゃんと分かっているのよね?」


ICUに入れる意味...



ICUは生死をさ迷うほどの重症患者がいるところ



龍希くんは目が覚めないだけで生死の淵にたっている訳では無いはずだ、と私たちが判断したためICUにはいなかった



でも、3ヶ月の間1度も目が覚めなかったってことは既に脳死している可能性がある




夏葵「わかっているわよ、それくらい」



だからこそ、だからこそこんなにもしんどいんだよ



苦しいんだよ、泣きたいんだよ




でもしんどいのは、苦しいのは、婚約者に裏切られて泣きたいのは龍希くんなんだよ



私なんかじゃない



だからこそ私は泣いたりしてはいけないんだ




龍希くんを裏切ってしまった私にそんな資格あるわけがないんだ



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