TOO MUCH PAIN
彼の手を取ると、少しごつごつした大きな指が汗ばんでいるのがわかった。


「ねえ、出ようよ・・・」


私はそのまま彼の手をひいて、ロフトを後にした。



「なに?誰?」

少し強引に手を引っ張って歩いていると、コマ劇の裏で立ち止まる。


何だか納得していないよね、当たり前だよ、こんな子供つれまわして。

びっくりしているその顔が可愛くて、もう一度キスをする。


「私リンダ、あなたは?」

「栄詩」

「やっぱり。」

そうだ、鉄さんの子だ。



そういうと、急に彼は怒りをあらわにした。


「なんで俺のこと知ってんだよ?お前誰だよ!!」

怒ってる顔も可愛いなって思いながら、思わず笑ってしまう。


「そんなに怒らないでよ。楽しくやろうよ・・・」


そのまま又彼の手をとって、私達は靖国通りまで歩いてタクシーを拾った。


「東北沢」


私の住むアパートのある駅前を指定すると、ずっとそのまま無言でタクシーは走り出していた。




ずっと彼”エイジ”は、私と目も合わせずに、ずっと車窓を見ている。

彼の見ている窓の外には、中央公園のさくらの花がかすかに見えていた。




何してんだろう私・・・


そう、こんな時期はきっと、あの花が女を狂わせるんだ。

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