誓約の成約要件は機密事項です

仮交際の始まり

返事をもらったのは、結婚相談所に申し込んでから5日後の金曜日のことだった。

4名の男性に申し込んだ結果、承諾は2名。残りの2名からは、まだ返事がない。

承諾した一人とは、すぐ日曜日に会うことになった。直接メッセージをやり取りして、待ち合わせを決める。

「相澤さん、明日の出勤の件だけどね」

昼休みの終わり間際、自席で返信していると、課長に呼ばれた。

そういえば、休日出勤の仕事内容を聞いていなかった。課長の作業を手伝えば良いのだろうかと漠然と考えていたが、事前に準備するものがあるなら、今日の午後のうちに済ませておかなければならない。

勇んで駆けつけると、課長は申し訳なさそうに苦笑した。

「やる気がみなぎっているところ申し訳ないんだけど、明日は出勤しなくて良くなったから」

「え？」

「予定を空けてもらっていたのに悪いね。ゆっくり休んで」

「そうですか……」

休日出勤しなくていいのは有り難いが、気が抜けた。

昼休みは、まだ少し残っていたので、給湯室に向かう。紅茶でも淹れて、気を取り直そう。

これなら、デートは日曜日じゃなくて土曜日でも良かったなと思いながら、給湯室で立ったまま熱い紅茶を啜っていると、ふいに気配を感じた。

「……っ！」
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