嘘つきな優しい人
存在
ガラガラッ

「あっ!朱音ちゃんはっけーん!」

放課後、いつものように図書室で一人本を読んでいると騒がしく入ってきたのは...

「瀬戸くん...」
「静かに〜って言っても人いないからいいけどね〜」

ゆっくり話す先生はニコニコ笑顔でそういう

「すんませんっ!」
「...なにかあったの?」
「朱音ちゃんに呼ばれてる気がして!」

なんて私の前に座ってウィンクしていう瀬戸くん。

「あー、呼んだかも。」

私は本から目をそらさずに言う。

「えっ?!ほんとに?!なになに!!」
「うん。昨日のこと。」

あと一時間で先生きちゃう...。

「あー、信用ないな。言わないよ安心して」
「...なんか裏でも?」
「ないない。ひねくれすぎじゃない...?」
「...」
「...恋愛するのにさ、価値観なんてどうでもいいし関係ないでしょ。
好きになったんでしょ?なら仕方ないじゃん。それを邪魔するようなことはしないししたくない。」
「ありがとう。」

失礼かもしれないけど意外にちゃんとした考え持ってる人なんだ...。

「それが、ちゃんと幸せな恋で正しいならだけど。」

ぼそっと言われた声は私の耳には届かなくて

「なに?」
「なーんでも!
朱音ちゃんって俺のことあんま好きじゃないでしょー?」

いきなりの質問に私は本から視線をずらして頬ずえをついてる瀬戸くんに移す。

「なんで?」
「んー。なんとなく?昔からわかるんだよね」
「...そう。」
「まぁ別に好かれてなくても俺が話したいからいいんだけど!!」

なんて笑う瀬戸くん。
ならなんで、そんな悲しそうに笑うの?

「今日は女の子いいの?」
「んー?このあと会いに行くよー」
「...そう。」
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