Heart


必要なものを取り、医局をすぐに出ると入口で遥太と鉢合わせた。


「おう、龍太。

ちょうどいいところにいた。この薬、結愛ちゃんに飲ませろ」


遥太から薬が押し付けられた。

どうやら急いでいるらしい。


「悪いが俺は救命の応援に行ってくる。お前も手が空いたら手伝いに来い。急患のオンパレードらしいからな」


「…あぁ、結愛の様子を見たらすぐに行く」


遥太は鳴ったPHSを取りながら走って行った。


俺は呼吸器内・外科を専門にしているが人手が必要な時に備え、救命科でも研修は終えている。


立ち位置としては呼吸器科のレジデントだ。


一方で遥太は俺同様に呼吸器科に専門をおきながらも、将来の院長として院内全ての科を網羅しているハイスペックな奴だ。俺からしても遥太は尋常ではない。


俺は遥太から渡された薬を見ながら結愛のいる病室へと足を向けた。


…コンコンコンコン……

「入るぞ」


俺に気がついた和也は、結愛のベットサイドの椅子から立ち上がり近づきそっと話しかけてきた。


「おかえりなさいませ。ご無事のご様子で。

すぐ外で待機しておりますので。

失礼します」


結愛のことを思ってなのか、病室は2人きりとなった。


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