バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
「!!」

怖すぎて目を閉じることもできず、せめて目線を下げるが、感じる視線に抗えず徐々に見上げる

さらさらとして艶やかな黒髪に、

美しいカーブを描くシャープなあご、

唇は薄く、でもとても深い赤色

真っ白にひかり輝くすべすべな肌はこの至近距離でも毛穴がわからない

うらやましいほど鼻筋が通っていて鼻の穴まで綺麗なかたち

彫りが深くて眉毛と瞳がとても近い

まつ毛は敷き詰められ羽のように美しく並んでいる

瞳はキラキラと輝き、切れ長で濃いグレイッシュな焦げ茶色の黒目で不思議そうにこちらを伺っている

人生でこんなに美しい造形をした人に間近で見つめられたことがないし、そもそも出会ったこともない

というか、こんな美しい人は石膏像でも見たことない

思わず息が止まりパチパチと瞬きをしてしまう
それと共に涙がまた流れる、
完全にパニックで心が高ぶってしまっている

カタカタと震え息も出来ずに涙を流す私に、その綺麗な生き物は目を見開き驚いたかと思うと、とても悲しそうに瞳が揺れた

向こうも動揺しているのか動かずただただ私を見つめる

また瞳から溢れた涙が口の中にはいってしょっぱい、反対の瞳から流れたものはあごまで流れてベッドにポタリと落ちる

それをみると、やっぱり顔同様に美しい、骨ばった薬指で顎から瞳の方へ私の涙を掬い上げるように優しく拭う

ビクッとして息を吐いて呼吸が戻った

私の呼吸を確認したかのように、そのまま私のあごをつかみ、彼の方へ私の顔を向けさせる

(めちゃくちゃ近い、息がかかってる)

彼の高い鼻が辛うじて付かないくらいの距離、角度を変えれば簡単にふれ合ってしまう

こちらは一切動けなくなりハッハッと息を吐くような呼吸しかできない
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