バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
目覚めてから女の態度がおかしい

とても穏やかに会話をしていたかと思うと、

俺を認識した途端、

昨日のことはすっかり忘れているようで、ずっとビクビクしている

最初はその態度に失望と苛立ちを覚えていたが、徐々に小動物がプルプル震えている姿に見えてくる

可笑しくて甘噛みして少し苛めてしまう…


すると思わぬ反撃にあう、

「いやいや、ヴァンパイアなんていないし、そもそも牙とかないじゃん」

(言えるか、牙がない理由なんて)

確かに女が指摘する通り牙はヴァンパイアの象徴であり、そうたらしめるものである

それを興奮に任せて自分で引き抜いたなんて一生誰
にも知られたくない

羞恥心を隠すべく俺の言うことを信じない女にそっと爪で傷をつける

相変わらず心を締め付けるほど俺を惹き付ける香り

昨日のやり取りと味を思い出すと、口に唾液がたまる

ゆっくり臭いをかぎ、早く早くと言わんばかりに舌を出しながら思いっきり吸う

(…!!)

ヘドロどころではない味、

すでに味ではなく衝撃と化したものが広がる

身体には鳥肌が立ち、ひどすぎる味を洗い流そうと一気に唾液が出る

しかし逆効果で唾液に混ざり口の中に拡散する血液、

多すぎる唾液を飲み込もうとするが喉が拒否する

口の中はいっぱいなのにえづこうとする喉を歯をくいしばって耐える

女がティッシュを口元に持ってくるがそれどころではない、

(今、口を解放してしまったらどうなるかわからない…)

だが、悲惨なことになるのは確かだ

もはや強制的に喉に液体を流し込むため、天を仰ぎ見ながら強引に喉を鳴らす

幸いにして一度喉を通ったものは戻る気配はない

(なぜ、またこんな味に?)

(昨日は確実に俺の人生の中で最高の味だった)

しかも、今回は一年前よりもさらにひどい気がする

しかし、口の中にはまだまだ余韻が残っているので歯をくいしばってしまう

みかねた女が俺にうがいをさせようと、ベッドから降りる

(…!)

床に倒れこむ寸前のところで女の身体を支える

腰から下に力が入らないようだ、

俺のせいなのは確実で申し訳ない気持ちもする、

しかし、自分でもひどいとは思うが同時にいい気分だ

女を抱き上げ浴室に連れていき、そのまま浴槽に浸かる

水の浮力によってか、彼女はささっと背中を丸めて体育座りの格好になる

構わず女を洗うために液体石鹸で泡をたてる

モコモコと泡をたてるだけのことがなんだがすごく楽しくて気分は上々だ

背中越しに声をかける、

女の返事は言葉は丁寧だが、声色は非常に硬い

少しでも緊張をほぐしてやりたくて腕から洗い始めると、

…逃げられたー

必死すぎるので黙って見守ることにした

身体に石鹸をつけながら俺の跡を見つけるたびに血の気が引いていく女、

目が覚めたときはパニック状態だったが、

爪をたてたあとからパニックに加えてさらに俺を恐れている

きっとさっき傷つけてしまったことで、その気になれば俺はいつでも女を壊すことが可能だと理解させてしまった

(そんなことしないし、その跡は、そんなつもりで付けたんじゃない…)

「血は吸うが、

取って食おうとは思ってない、

もちろん殺す気もないから安心しろ」

(伝わっただろうか?いや、伝わってないな…)

これ以上何て言えばいいのか分からないので見つめるしかない

(いつだって傷つけるつもりも壊すつもりもない、むしろ大切に扱いたい)

ふわふわの泡を差し出す

素直に受け取り俺が作った泡が女の手によって徐々に全身に塗られていく、

(もっともっと…)

まだ背中に全く泡がついていないのに流そうとするので、華奢な肩から順に泡を塗りつける

俺の手から逃げるようにのけ反ったせいでバランスを崩すから抱き止める

(これで逃げられない)

美しい女の肌を磨くように泡をつける、

洗いにくいので浴槽から出て、女の後ろにまわり抱き締めるようにして足の指の間までくまなく洗う

全身に俺の泡がついたことに満足感をえて、シャワーで上から洗い流すと、彼女の閉じられた部分に水が溜まる

そういえばここは洗ってない

先程のように手を進めようとすると、両手で遮られこちらを見つめて拒否する

やっと反応したかと思うと拒絶だから、苛めてやりたくなる

女の顔が近いので一瞬そのまま唇を重ねようかとも思ったが、

先程の様にまた顔を背けられるとつらい、

なので、こちらは諦める
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