隣の席の不思議系彼女
壺山ミラクルを発揮
それから暫くの間、壺山はふと遠くを見つめたり、思い出したように悲しい表情を浮かべたりしていた。

さんちゃんに想いを巡らせているのだろう。
俺はいつも通り、特に声をかけるでもなく、隣の席から彼女を見守っていた。

そんなある日。

「安城……」

「ん? どうした?」

次の授業で使う教科書を、机から取り出している時だった。

「これ……」

隣の壺山に差し出されたのは、綺麗にカバーをかけられた一枚の写真。

受け取ってじっと見つめる。

……?
もしやさんちゃん?
小さくて白くてふわふわな可愛らしい犬。
つぶらな瞳がキラキラしてる。
笑顔の壺山に抱かれていて、心なしか嬉しそうだ。

ってかなんで写真?
携帯持ってるんだからそれで撮り放題、見放題だろうに。
今時写真持ち歩いてるとか。

さすが変わり者壺山だ。
まぁそれはそれとして。
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