《短編》ガラクタ。
昨晩アラタに抱かれたからなのか、珍しく朝からご機嫌なあたしの電話にシゲちゃんは、驚いたように、だけども少しばかり嬉しそうな様子だった。
まるで遊園地から帰ってきた子供のようで、別世界であるアタラのとこから、日常のシゲちゃんのところに帰ってきた、って感じだろう。
はっきり言って自分が良ければそれで良いし、言いたいことだけを言い、さっさとあたしは電話を切ってしまう。
あまり通話を長引かせると、心配してたとか愛してるとか、そんなシゲちゃんの言葉にシラけてしまうだろうから。
何だか欲しかったもの全てが手に入った気がした朝は、悪くないのかもなと思った。
夕方からは、居酒屋のバイト。
ろくに働きもしないあたしは両親からキレられ、たまに父親の兄である叔父さんが経営する小さな居酒屋の手伝いみたいことをさせられているのだ。
カウンターとボックス席がふたつで、ほとんどが常連さん。
叔父さんも焼酎片手に焼き鳥焼いてる感じだし、あたしも勧められれば飲んじゃって、そんなに稼げるわけでもないけど、でも、楽だし楽しいのだ。
だから一応、このバイトはずっと続けてる。
「じゃあ、そろそろ帰るよ。」
馴染み客のそんな一言と共に、カウンターに置かれた一万円札。
ふとそれに視線を落としてみれば、左半分には今まで気にも留めることがなかったダサい鳥が羽を広げている。
アラタの鳳凰とはまるで別のもので、こんなキモいのと同一視されたくないな、なんてことが頭をよぎった。
「…マイちゃん、どうした?」
「あぁ、ごめん。」
弾かれたようにヘラヘラと笑い、客の会計を済ませて見送った。
外の世界はすでに真っ暗闇に支配されていて、寒さに身震いしながら足早に店の中へときびすを返す。
アイツの風邪がぶり返してなきゃ良いけど、なんて考えていた自分が居て、本当にどうかしてるんだ。
まるで遊園地から帰ってきた子供のようで、別世界であるアタラのとこから、日常のシゲちゃんのところに帰ってきた、って感じだろう。
はっきり言って自分が良ければそれで良いし、言いたいことだけを言い、さっさとあたしは電話を切ってしまう。
あまり通話を長引かせると、心配してたとか愛してるとか、そんなシゲちゃんの言葉にシラけてしまうだろうから。
何だか欲しかったもの全てが手に入った気がした朝は、悪くないのかもなと思った。
夕方からは、居酒屋のバイト。
ろくに働きもしないあたしは両親からキレられ、たまに父親の兄である叔父さんが経営する小さな居酒屋の手伝いみたいことをさせられているのだ。
カウンターとボックス席がふたつで、ほとんどが常連さん。
叔父さんも焼酎片手に焼き鳥焼いてる感じだし、あたしも勧められれば飲んじゃって、そんなに稼げるわけでもないけど、でも、楽だし楽しいのだ。
だから一応、このバイトはずっと続けてる。
「じゃあ、そろそろ帰るよ。」
馴染み客のそんな一言と共に、カウンターに置かれた一万円札。
ふとそれに視線を落としてみれば、左半分には今まで気にも留めることがなかったダサい鳥が羽を広げている。
アラタの鳳凰とはまるで別のもので、こんなキモいのと同一視されたくないな、なんてことが頭をよぎった。
「…マイちゃん、どうした?」
「あぁ、ごめん。」
弾かれたようにヘラヘラと笑い、客の会計を済ませて見送った。
外の世界はすでに真っ暗闇に支配されていて、寒さに身震いしながら足早に店の中へときびすを返す。
アイツの風邪がぶり返してなきゃ良いけど、なんて考えていた自分が居て、本当にどうかしてるんだ。