Perverse
「おっも!」



色々買い込んだ私達は荷物を分けたけれど、やっぱりお酒を持ってくれた沙耶ちゃんに負担がかかる。



「ごめんね、沙耶ちゃん。私変わろうか?」



心配になって声をかけると、



「私、見た目より力あるんで大丈夫ですよ」



と笑顔で力こぶを作る真似をした。



「買いすぎちゃったかもしれないわね」



「3人とも飲みたいものが違うんだもの」



苦笑いしながら3人で歩き出すと…。



私の足はそのままピタリと停止した。



「結菜?」



「……が…き…くん……」



「え?」



私の視線の先にはスーツの男性の後ろ姿がある。



間違えるわけない。



あの背中は、私が何度も何度もしがみついた、愛しい背中だ。



「柴垣くん!」



その背中に向かって楓が大声で叫ぶのと、



「やっぱり変えてくださいっ!」



私の袋と沙耶ちゃんが持っていたお酒の袋を変えられたのは同時で。



その背中が角度を変えて振り向くと、やっぱり間違うはずもない。



柴垣くんだ……。
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