Perverse
「嘘でしょ…」



柴垣くんの予定表には確かに記載されている品番が、私の予定表には記載されておらず空欄になっている。



「どうして…こんな…」



色々な事が頭を駆け巡るけれど、そんな事よりも今は何とかしなければいけない。



私の顧客の中にはうちの商品を中心に構築している店舗や、売上の半分以上を上げている店舗だってある。



一品番だろうと、仕方が無いでは済まないのだ。



「三崎さん。今フリー在庫を確認してるんだけど見てみて」



津田さんにそう言われて回り込み三人で画面を覗き込む。



「総数はまぁまぁ残ってるけど色指定は無理そうだね」



「全部取ってアソート組むしかないっすね」



津田さんは在庫の数字を書き出してくれた。



「これ、今すぐ取り置き伝票上げて物流にファックス。その後すぐ電話で確実に押さえてもらって」



「はいっ」



デスクに戻って早急に作業する。



「大丈夫だよ。今回は展示会後だからみんな張り切って営業掛けてるけど、中には入れ込みや過剰取り置きもあるはずだから」



津田さんは私と対照的に落ち着いていて、いつもと変わらず優しく微笑む。



そんな笑顔を見ていたら不思議と心が落ち着いた。
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