Perverse
真っ直ぐに向けられた彼の視線が厳しくて私は思わず目を逸らす。



「な…何やってるの?こんな所で」



「給湯室の確認。何がいるのか何があるのか。それがわからないと茶も入れらんねぇから」



「そか…」



「それともこの課は優しい『三崎さん』が笑顔でいつでも入れてくれるわけ?」



ぐっと言葉に詰まる私を見て柴垣くんは溜め息をついた。



「ここでは三崎がお茶当番なのかって聞いたら、アイツら『三崎さんの入れてくれたお茶は特別美味しいから』って笑ってたぞ」



「…そう」



お茶くみなんて私の仕事じゃない。



そう言って跳ね除けたい時期もあったけれど。



お客様がいらっしゃれば心象がいいから。



上司や同僚には煽てられ…いつの間にか自分で自分の仕事にしていたように思う。



「お前、いい加減その仮面みたいな笑顔やめろよな」



「えっ?どういう意味?」



私の質問に答えてくれることなく彼も給湯室を後にした。

< 16 / 290 >

この作品をシェア

pagetop