Perverse
何をどう思って柴垣くんがあんな事を言ったのか、考えても未だにわからないのだ。



それでもあの言葉が正しかったということだけは、過去を振り返ると一目瞭然で。



どんなに仕事で結果を出して認められても、高嶺の花と言われてもてはやされても、結果としてあの時から私は成長していないということ。



それを柴垣くんに知られるのには抵抗がありすぎる。



いつの間にか私の話題から逸れてテンポよく会話を重ねていく柴垣くんと沙耶ちゃんを横目に、なんとなく複雑な心境になってさり気なく席を離れた。



給湯室に入りお湯を沸かしながら他の人のカップに手を伸ばしてハッとする。



そうだ、お茶は各個人で入れる様になったんだった。



今まで当たり前にやっていたことが、柴垣くんの提案で変えられたことが幾つかある。



おかげで私は随分と解放され、その分仕事に専念することができたのだけど、柴垣くんの一言で身の回りに変化が起きるということに、何とも言えない気持ちになる。
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