Perverse
開始からもうすぐ3時間たとうとしている。



そろそろ一次会もお開きとなるだろう。



ずっと隣で優しい姿勢を崩さずに語りかけてくれる津田さんの話の内容も、お酒の力か頭に入ってこなくなってきた。



「すみません、ちょっと…」



タイミングよく途切れた会話に席を立とうとする。



「どうしたの?」



楓の問に『お手洗い』と告げて立ち上がると、足が縺れてふらついてしまった。



「危ないっ」



津田さんが私の腰を支えてくれて、どうにか倒れるのは免れたけれど。



「津田さん!狡い!」


「なに触ってんっすか!」


「さり気なくアピらないで下さいよっ!」



など…ちょっとしたネタになってしまった。



「何言ってるんだよ。危なかったから支えただけだろ」



変わらず爽やかに笑いながらかわす津田さんに同調すると逆効果だと思い、私はゆっくりと席を外した。



個室を出ようとして何気なく振り向くと、再び合わさったのは私と柴垣くんの視線。



さっきよりも冷たく感じる視線から逃れる様にその場を後にした。
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