Perverse
パウダールームに向かうと、真っ赤になった間抜けな顔が写し出された。



津田さん…か。



楓の話を聞いてから、私は頭の隅で打算的なことばかりを考えている。



今まで私が付き合ってきた男性は尽くダメになっていったけど、津田さんはどうなんだろうか?



性格は本当に優しくて頼りがいもあるし、見た目だって温厚な性格が滲み出るような暖かい目で爽やかだ。



営業成績は私の方があるけれど、それは後輩の指導とサポートもしている主任という立場上、得意先が私よりも少ないからで。



仕事は佐々木課長よりもデキる男なのだ。



そんな男性なのに今まで私は1度も津田さんを男として見たことがなかった。



本人から気持ちを聞いたわけではないのだから、こんなことを考えていても無駄なのかもしれないけど。



もう少し周りを見て自分を見つめ直すのもいい。



ふと何故だか柴垣くんの冷たい目を思い出して、戸惑いながら頭をふるとお手洗いを出た。



個室に戻り襖に手を掛けたけれど、中から聞こえてきた声で、私の手は止まってしまった。
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