Perverse
「高嶺の花だとか完璧だとかいろいろ言ってっけどさぁ。アイツはそんな万能な女じゃねぇと思うけど」



向こう側から響いたのは、間延びした柴垣くんの声。



どくん…



その言葉に私の心臓は大きな音を立てて響いた。



「いやいや、柴垣さんはまだ異動して来て1週間じゃないですか」



「1週間じゃ三崎さんの魅力はわかんないっすよ」



「その前は2年間一緒にいたっつーの」



後輩の男性社員の言葉に呆れた様子の柴垣くんの笑い声。



その声に反応するかのように、私の意志とは関係なくもっと音を立てる心臓。



なんなの…これ。



「そりゃ柴垣さんくらいの人ならイイ女たくさん見てきたかもしれないけど」



「それでも三崎さんは別格だろ」



再度わいわいと語りだす男性社員は、どうして何も知らないのに堂々と語るのだろう。
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