Perverse
「そんなバイヤーいねぇよ。いたって自分で何とかするし」



そうだ。



柴垣くんならいちいち私なんかに意見を求めたりしないだろう。


でもだったら何故?



明らかに疑問が顔に出ている私を見て、柴垣くんはわざとらしく大きな溜め息を漏らした。



「お前さ、そういうのワザと?」



「…え?」



「そか。そうだよな。」



柴垣くんは話についていけていない私を置いて、自分で勝手に納得してしまった。



『一つだけ言っとくぞ』と柴垣くんは椅子を回してこちらを向くと、仏頂面で私を捉える。



「流されるも流されないもお前の自由だけど、ちゃんと相手の気持ちを測れ。鈍い女が可愛いと思ってるのは女だけで、男は迷惑してんだぞ」



「はぁっ!?」



柴垣くんのあまりの言い草に、つい興奮気味に睨み付けてしまった。



すると柴垣くんは、



「やっぱりな」



と言って意地悪そうにニヤリと笑った。
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