Perverse
「すみません津田さん。できればコイツ置いといて欲しいんですけど」



言葉を探していたところに、まるで救いの手のような言葉が降ってきた。



私にとっての救いの言葉に、津田さんは少しだけ眉間にシワを寄せた気がする。



「どうして？」



「今日行った得意先に厄介なバイヤーがいるんですよ。前任者がコイツなんで、ちょっと話聞きたいんで」



「…そっか…。じゃ仕方ないね。三崎さん、また。2人ともお疲れ様」



「お疲れ様でした」



「お疲れっす」



津田さんがフロアを出て行くと、2人の間にはぎこちない空気が流れた。



この状況…どうしよう。



「…あの…柴垣くん。…厄介なバイヤーって？」



「あ？」



「私の前得意先って…柴垣くんに渡ったんだっけ？」



そういえば柴垣くんの赴任によって担当替えがあったのは事実だけれど、代わりに異動した男性社員の全得意先と津田さんの一部だったはず。



私が担当を外れたところなんて…なかったよね？
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