Perverse
どうして柴垣くんの言葉の先を聞きたいと思ったのかは分からない。



けれど彼の言葉を聞けば、何かが変わりそうな気がしたのは確かだ。



今まで変わりたくても変われなかった私の、この丸くなった背中を優しく押して欲しい。



そんな気持ちが伝わったのか柴垣くんは『わかったよ』と言って溜め息をついた。



「お前の理想の女がどんな人間なのかは知らねぇし、目指している何かがあるのかも知れねぇけど、今お前の被ってる皮がソレなら止めとけ。お前には向いてねぇから」



優しく押してもらって伸びるはずだった私の背中は、ものの見事に縮み込みさらに丸くなった気がした。



「いくら毒舌の柴垣くんでも酷い」



「三崎が知りたがったんだろーが」



「そうだけど、もうちょっと柔らかい言葉が返ってくると思ってたんだもの」



「あほ。俺相手に甘えるな」



その言葉にむくれると、柴垣くんは言葉とうらはらに優しい眼差しを向けてくれた気がした。
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