Perverse
「柴垣…」



弾けるように振り向くと、そこには眉間に深くシワを刻んだ柴垣くんが不機嫌そうに立っていた。



「別に柴垣には関係ないよ。少し三崎さんと話してただけだ」



津田さんらしからぬ少々強い口調で柴垣くんに答えると、私に視線を戻してフワリと微笑んだ。



「じゃあ三崎さん、また明日ね。さっきの話、本気だから」



そう言うと津田さんは緩く手を振って、来た道へと戻って行った。



「……」



「……」



なんとなく気まずい沈黙…。



その間、柴垣くんの息が少し上がっているのに気付いて。



もしかして…追いかけてきけくれたのかな。



なんて淡い期待が頭に過ぎる。



「……柴垣くん、早かったね」



「毎日毎日残業なんてしねぇから」



「そうなんだ…」



素っ気なくそう言われてしまったけれど。



帰社してからすぐには、なかなか帰れないってわかってる。



電車の本数は多いけれど、この時間に私達に追いつくためには、それなりに走らなければならないことも。



だから柴垣くんの息が荒いんだと思う。



ねぇ、どうして…?



柴垣くんを見つめると、彼は鋭い目つきで私を睨みつけた。



「お前…ありえねぇから」


……柴垣くん、怒ってるの?
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