Perverse
「男の人が誰しも下心を持ってる訳じゃないと思う。津田さんだって夜道は危ないからって親切心で送ってくれただけよ」



「そのお前の言う親切心の塊の津田さんが、なんの下心もなしに俺に牽制出して方向が違うお前を送って最後にコクると思うか?」



「…それは…」



「俺は思わないね」



スッパリと言い切ってしまうあたり、柴垣くんもそうなのかな、なんて思ってしまう。



私と一緒に帰るのは下心ではなく、テリトリー内にたまたま住んでいるからだって言われている私は、柴垣くんが向ける下心の行方にも嫉妬する。



そんな権利なんて微塵もないのに。



「…帰る」



「は?」



「テリトリー荒らしてごめんなさい。もう帰るから」



俯いて表情を隠したのは、何の感情も抱かれていない自分を晒したくなかったから。



「なんだよそれ」



「なんでもない」



「おい」



マンションへと向かおうとする私の腕を、柴垣くんは少し強引に引き止めた。



「大袈裟な張り紙のせいで柴垣くんに迷惑かけたけど、もう大丈夫だから。今までありがとう」



「おいっ」



「自分の時間を優先して。私は大丈夫だから。もう帰るね。津田さんのこともちゃんと真剣に考えるから」



「てめっ!」



言うが早いか。



私は柴垣くんの凄い力に引き戻された…。
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