私の遠回り~会えなかった時間~
「気を付けて運転しなさいよ。行ってらっしゃい。」

そんなお母さんの声に今度はニッコリと目を合わせた。

「ありがとう。行って来ます。」

いつもよりは少し遅れたが、始業時間には少し余裕を持って総務のオフィスへ入った。

「おはよう、大沢さん。早速で悪いんだけど、企画室からお呼びがかかっているわ。」

浜田さんが近づいてくる。

「企画室?」

「そう、さっき企画室の山本さんがここへ来て、まだあなたが来ていないのを確認するとそう伝言して言ったの。」

何だろう?

昨日の事で何かあったかな?

私がそんな事を考えていると、浜田さんは私をじろりと見た。

「昨日、モデルをしたんだって?」

そのからかうような楽しそうな浜田さんの表情。
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