私の遠回り~会えなかった時間~
「顔を貸しただけですよ。本物のモデルさんの車が途中で事故を起こしてしまって来られなくなったので、その代わりに会場の大勢の前でメイクしてもらいました。」
なるほどというような浜田さんの顔。
「とにかく企画室に早く行ってらっしゃい。木本君にはくれぐれも気を付けてね。」
浜田さんはひらひらと手を振って、私を見送ってくれた。
山本さんが私に何の用事があるんだろう。
昨日の事はあれできちんと終わったはずなのに。
何か不手際でもあって注意されるのだろうか。
あまり足を運ぶことがない企画室の前に私は立つ。
中は何やら活気ある声が飛び交っているようだ。
コンコン。
私はノックをしてからそのドアを開いた。
一斉にその視線が私に向かって来た。