私の遠回り~会えなかった時間~
だから余計に美容院もご無沙汰だった。

「加代さんの美容院、どうなっているかな。」

4月オープンに向けて、店の改装をしているとお母さんが言っていた。

私はあれから会社帰りなどに、新しい行きつけに出来るような美容院をそれとなく伺っていた。

でも今はどこも規模が大きな美容院が多く、大勢が鏡に向かっている様子を想像すると気後れしていた。

さらにその後ろを走り回っている美容師さんを見て複雑な思いを持っていた。

あんなに忙しそうだったら、ちょっとした会話も落ち着いてかわす暇もないだろう。

それにこの年齢で他の美容院を全く知らない。

そう考えると今更行きつけを変えるのも気恥ずかしい気がしていた。

出来れば今まで加代さんがしてくれていたように、ゆったりとした雰囲気の美容院が良かったが、そのような所はなかなか見つからなかった。

「どうしようかな。」

私はそんな事を考えながら、帰宅した。
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