トライアングル (仮)
遠足




「ねぇ、はるちゃん。もうすぐ遠足だね。」





「ね。今年は動物園だっけ?小学生みたいだよね。」









以前助けてくれた、七瀬 胡桃ちゃんとは
すぐに仲良くなることができて、
こうしていつも私の席に来てくれる。




なんて優しい子なんだ…!

おまけに子猫みたいな目で私を見てくる!






にしても、遠足が動物園ってお子様すぎません?


そりゃあ動物は好きだよ。可愛いし裏切らないし。

でも、別に休みの日とかに行けるのになあ。




…っと、裏の望春がでてきてしまった。











「吉野さんって、はるちゃんって呼ばれてんの?」





でました…。


“クラスの中心的存在”の山崎夏月。




やっぱりコイツはクラスの中心で、
いつも机の周りには人がいて
大半は女子だ。






関わるつもりはないのに、席が前後なので
どうしても話す機会が多くなってしまう。










「じゃあ 俺もはるちゃんって呼ぼー」






言ってるそばから!


そうやって私の心の中にずけずけと入ってくる。






「俺のことはざっきーでいいから!」






いや、呼んでいいって言ってないし…。



でも、ここで変なこと言ったら高校生活は終わりだ。


これからのキラキラライフのために、
私はいつも笑顔のいい子ちゃんでいるって決めたんだ。







「わかった。ざっきーね!」






ニコッと、笑顔の模範のような満面の笑みでざっきーを見た。




はずなのに、またざっきーは私を見て笑ってる。


いや、笑ってるのはいつもなんだけど

なんか、面白いものを見て笑っているような…。

まあ、気のせいだろう。













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