【短】恋愛ロマンチスト
「…分かった。それなら、このお菓子全部捌いたら…天哉からのお返しと天哉丸ごと貰うかんね…?」
カチン、と彼女のどこかのスイッチが入ったように聞こえた。
この顔は危険…。
そうは分かってるのに、またくだらないプライドが俺を支配する。
「どうせ、全部なんて無理な癖に。降参するなら、今の内だぞ?それに、そんな条件俺にメリットなんか…」
「私の全部が、天哉のもんだから…」
「…っ」
なんて事を真っ正面から言い放つんだろう…この人は。
なんで、今。
俺はそんな彼女の視線から逃れられないんだろう。
「…じゃあ、タイムリミットは部活が終るまでね」
「ちょ…、そ、それじゃあ、あと半日もないじゃんか」
「天哉を好きだって気持ち、証明する為だから。まぁ見ててよ。こんなんすぐに消化してやるんだから」
「莉夏…」
それだけ言うと、彼女はぽんぽんと俺の肩を軽く叩いて部活へと行ってしまった。