ねぇ先輩、名前をよんで。




「はは、なんでこうなるかね」


情けない自分が

何度もさらけ出される。


いつまでもカッコつかなくて笑えた。


その時。


「あ、」


手からするり、とすり抜けて

ストラップが落ちた。


落ちたストラップを拾おうとした瞬間。


「落としたよ」


俺よりも先を行く手が、

そのストラップを掴んだ。


「どうぞ」


そう言って差し出してくれる人の顔を見て

目を見開いた。


「……っ」


その人ははるかが好きな先輩だったから。


「あ、りがとう、ございます……」


「どういたしまして」


ふわ、と笑って去っていく。

その背中を振り返って見つめ


俺はとっさに思ってしまった。


俺は彼を超えられないかもしれない。


と。






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