ねぇ先輩、名前をよんで。



『春先輩の笑顔が好きです』



突然そんなこと言いだしたと思ったら。



『ちょっと言いたくなっただけ。

元気、出してください』


俺が元気のないことを察して

そんなことを言ったりもする。


今日は優の命日だった。


お墓の前で彼女に話しかけたって、

彼女が答えてくれるわけじゃない。


戻って来ない彼女の前で

涙を零しながら必死につぶやいた。



「優、好きだよ……」



届かないと知っていて、

今更そんな言葉を零す俺は本当に愚かだーー。




優のお墓参りの帰り道、

俺は偶然ゆうちゃんに出会った。




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