御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
『私と鷹凪の密会写真なんて、嘘だからね。あの写真の写ってないところにちゃんと誠司もいるわ。私は誠司の秘書として同行しただけ』

「……はい」

ことの顛末を聞かされて、奏は拍子抜けした。
つまりあの記事全部がでっち上げだったというわけだ。それもとびきり悪意のある。

でも、そのことを鷹凪は知らない。今彼はなにを考えているのだろう、彼からの連絡はないし、電話をしても折り返しが来ない。

『鷹凪とは、話ができた?』

「いえ……あまり。ただ、家を出るなとだけは言われていて」

『これから先のことは、まだ聞けていないのね?』

「はい……」

『……おそらく明日、鷹凪はなんらかの形で記事の否定をすると思う。誠司も会見を開くつもりよ。お腹の子まで記事に書かれて、このままにしておくわけにはいかないから』

「……そうですね」

『それでね……ひとつ、潔白を証明するためのシナリオを用意したの。聞いてくれる?』

躊躇いがちに伺ってくる美影を怪訝に思いながら、奏は黙ってその言葉に耳を傾けた。

やがて奏は沈黙し、なにも喋れなくなった。そのシナリオには奏が深く絡んでいて――。
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