御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「……奏……」

掠れた声で名を呼んで、鷹凪は目の前の最愛の女性の体をぐっとベッドに押しつけた。

熱にうなされるように口づけを落とし、擦り切れた心を慰めるかのように愛撫する。

情熱的に求められて、奏はどうしたらいいのかわからず、震えることしかできなくなってしまった。

鷹凪の手が服の隙間から滑りこんできて、びくりと体が強張る。

愛している。けれど、怖い。初めての不安感は、愛では乗り越えられないほどに深く奏の中に根付いていた。

「……怯えているのか?」

気づいた鷹凪が不安げに瞳を揺らす。恐る恐る頷いた奏に、鷹凪は困った顔をする。

「……奏が嫌なら、無理やりになんてやらない」

そう言って奏の額に優しいキスをくれる。
けれど奏は首を横に振った。夫婦なのだから、愛しているのだから、体の関係を拒むなんておかしい。

恐怖を押し殺しながらもひたむきに頑張ろうとする奏を見て、鷹凪はフッと笑みを浮かべた。

「奏がやりたいと思えてからでいい。俺はお前を大切にしたい」

それだけ甘く囁いて、奏の横へと体を倒す。
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