御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「せめて今夜はこうして……そばにいさせてくれ……」

そう告げて、奏をきゅっと抱きしめる。彼の体温がじんわりと伝わってきて、奏は緩やかなぬくもりに包まれた。

初めて、愛されているのだと感じた。

彼への愛おしさが胸の奥からあふれてくる。このまま体全部、鷹凪に預けてしまいたい、愛情を刻みつけてほしい。
……そう思うはずなのに、震えが止まらない自分が情けないけれど。

早く彼のものになりたい。けれど心が追いついていかない。

矛盾した気持ちを抱えながらも、眠りに落ちるその瞬間まで抱き続けてくれた鷹凪に、奏はやっと自信を持って愛情を感じることができたのだった。
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