御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
もとはと言えば、鷹凪の政治戦略のために強引に推し進められた契約結婚だ。

恋愛結婚でない以上、利益がなくなれば破棄されるのは当然。
離婚しようと言われても、おかしくはない。

奏にはもう、鷹凪のいない生活など考えられないのに、向こうもそうとは限らない。

この想いが一方的なのではないかと不安になる。

(鷹凪さんは……私がいなくても平気?)

『政治』と『妻』、どちらかを取れと言われたら、彼は――

(お願い、別れようなんて思わないで……)

誰もいなくなってしまった広いリビングでひとり、祈るように手を握りながら、ただひたすら涙を流し続けた。
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