副社長の一目惚れフィアンセ
「どういうこと?」
「…詩織は、自分の持っている力はたったひとつだけだと言っていた。
だけど多分違ったんだ。
明里が俺を忘れたのも…それだけじゃなく、こうして再会することも、もしかしたら…」
そこまで言って言葉にするのをやめたナオ。
「ナオ、意味がわからないよ…」
「…来るべき時が来たら見せたいものがある。もう少し待ってほしい」
腑に落ちないままの私にかまわず、ナオはまた私の上に重なった。
「明里、俺だって生きててよかったって思ってるんだ。今日は明里を思い切り抱きたい。…嫌か?」
熱を帯びたナオの瞳に、胸の奥がきゅーっと苦しくなる。
「嫌なわけないよ…」
お姉ちゃんの件が中途半端なことに不満は残ったけど、敏感な部分を這うナオの唇に、指使いに、あっという間に息が上がって私の頭は回らなくなっていった。
自分が自分でなくなってしまう感覚。
幾度となく体感したそれに、私はいまだに慣れなくて、すがるものを探して枕の端をぎゅっと掴む。
だけど、掴んだ手はナオの指に絡めとられ、そのまま握られた。
「…詩織は、自分の持っている力はたったひとつだけだと言っていた。
だけど多分違ったんだ。
明里が俺を忘れたのも…それだけじゃなく、こうして再会することも、もしかしたら…」
そこまで言って言葉にするのをやめたナオ。
「ナオ、意味がわからないよ…」
「…来るべき時が来たら見せたいものがある。もう少し待ってほしい」
腑に落ちないままの私にかまわず、ナオはまた私の上に重なった。
「明里、俺だって生きててよかったって思ってるんだ。今日は明里を思い切り抱きたい。…嫌か?」
熱を帯びたナオの瞳に、胸の奥がきゅーっと苦しくなる。
「嫌なわけないよ…」
お姉ちゃんの件が中途半端なことに不満は残ったけど、敏感な部分を這うナオの唇に、指使いに、あっという間に息が上がって私の頭は回らなくなっていった。
自分が自分でなくなってしまう感覚。
幾度となく体感したそれに、私はいまだに慣れなくて、すがるものを探して枕の端をぎゅっと掴む。
だけど、掴んだ手はナオの指に絡めとられ、そのまま握られた。