副社長の一目惚れフィアンセ
「社長、前にも言ったはずです。
俺は明里以外の女性とは結婚しません。
有能な社員ならいくらでもいるでしょう。
そういう人間に副社長の座を与え、政略結婚でもなんでもさせればいい。
俺は立場を失っても明里を手放すつもりはない」

当然のように言葉を返すナオに胸が締め付けられて切なくなる。

「私は血縁以外を次期社長にはしたくない。
今回の件で、消費者の信頼を取り戻すにはかなりの時間を要するだろう。
何千という社員の生活がかかっているんだぞ」


『何千という社員の生活』

その言葉に、ナオが膝に置いていた手がピクッと一瞬反応したのがわかった。


< 184 / 204 >

この作品をシェア

pagetop