冷酷な騎士団長が手放してくれません
「避けては通れない道なんだぞ。お前は、年の割にウブ過ぎる。それを読んで研究しないと、殿下に呆れられるぞ」


マヌケ面なりにも生真面目な表情を浮かべるライアンを、ソフィアは口を引き結んだまま見返した。


最早、反論の余地はない。


腹を括って婚約したはいいものの、ニールの中の男が怖いという問題は、まだ解決してはいなかった。


急に静かになったソフィアを見て、ライアンはへへんと満足そうな笑みを浮かべた。


「かわいい妹のために、絶版になったお気に入りの本をしぶしぶ手放すんだ。大事にしろよ」


そして恩着せがましい捨て台詞を残すと、廊下の向こうへと遠ざかって行った。





ソフィアは、臙脂色の絨毯の敷き詰まった廊下に、しばらくの間立ち尽くしていた。


不安が、波のように胸に押し寄せている。


私に、ニール王子の妻が務まるのだろうか?


以前のように体に触れられても、逃げ出さずにいられるだろうか――?


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