恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
あの夜の、真実
「ど、どうして・・」と呟いた私は、慌てて頭を左右にふった。
それでは質問の内容が違ってると思ったから。

10年前に失くしたはずの腕時計を、今、懐かしく見ながら、私は思いきって視線を岸川さんに移した。

「どこで、これを・・・?」
「俺んち――って言っても、今はもう住んでないけど――の、ベッドの傍に落ちてたよ」
「そぅ、ですか・・」と呟きながら、私は再び腕時計を見つめた。

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