恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「あれ?これ・・留め金が緩くなってたはず・・」
「あぁうん。だから修理してもらった」
「え!?そんなことまでわざわざ・・・すみません」
「いやぁ、それは別にいいけど。ホントはすぐにでも渡したかったんだが、連絡先も、どこに住んでるかも全然知らないまま、湖都はいなくなっちまったからな」
「ぅ」

少々避難がましい岸川さんの言い方に、私は恐縮しながら「ごめんなさい」と謝った。
だって岸川さんが私を責めたくなるのは・・・もっともだと思うから。

「お礼を言って欲しいために湖都ちゃんを介抱したんじゃないけどさ、せめて一言“帰る”くらいは言っても良かったんじゃないのか?俺、マジで心配したんだぞ。シャワーから出たらもういなくなってたから」
「そっ、それは、ホントに・・・・・ごめんなさぃ」

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